花びらを数える日々

チラシの裏、ときどき星の屑

僕の世界が展開する/数学は世界を変える あなたにとっての現代数学

僕は微分がわからない。積分もわからない。
それが何に使われるのかということだけでなく、それが何を意味するのかさえ知らない。
世間の人たちは、おそらくこれらを知っているのだろう。

「数学は世界を変える」という本を半分読んだ。数学をわからない僕だけど、ちょっと感動した。

数学は世界を変える あなたにとっての現代数学

数学は世界を変える あなたにとっての現代数学

数学に興味を持つこと、そして数学に感動することに、数学の知識は必ずしも必要ではないようだ。
例えば、僕はフェルメールの絵が好きだ。でも、絵のことは詳しくないし、使われている技法がどのようなものかも、どのくらい凄い技術なのかもわからない。
あるいは、僕には大好きな友人がいる。素晴らしく、誇りに思える友人だが、僕は彼らの生い立ちも知らないし、内面のすべてを知っているわけでもない。
同じように、この本を読んで僕は、数学を知らないけれど、数学を好きになった。

この本の、「トーテムポール」の項が特に気に入った。
僕たちの身近な存在である電波放送の一つ、ラジオを例に挙げ、次のようなことが書かれている。

ラジオ放送が普及したのは、優れたアンテナを発明した人たちの功績といえよう。
そして、電波通信を可能にしたのは、イタリアのグリエルモ・マルコーニという発明家だ。
それは、ドイツの大学教授であるハインリヒ・ヘルツが電磁波の存在を明らかにし、無線通信が可能であることを証明したからこその発明だ。
さらに、ヘルツが電磁波を証明しようとしたのは、イギリスのクラーク・マクスウェルが「電磁場」の波という考えを思いつき、それに微積分を当てはめて微分方程式を導き、電磁波が存在するはずだと結論したからだった。
そして、微積分を考え出したのは、かのニュートンである。

連綿と続いてきた努力や実験の結果が、今の僕たちの社会を構築している。僕はこういう話に弱くて、少し、目が潤みかけた。
驚くことに、そこには国境もない。数学は共通の言語にもなるのか……。

数学を学び始めようと手に取った一冊めの本で、こんなにも壮大なスケールの話が展開するとは思わなかった。
まさに、数学は世界を変える、というタイトル通りだった。

この本は二章構成になっていて、僕はまだ前半しか読んでおらず、これから現代数学の章に入る。楽しみ! 数学を楽しみと思えるのは、中学生の頃以来だ。