花びらを数える日々

チラシの裏、ときどき星の屑

きっと忘れるので、どうでもいいことを書く

僕は記憶することが苦手だ。あるいは、記憶を思い起こすことが苦手だ。どちらかはわからないが、とにかく物事を後から思い出すことがうまくできない。うまくできない、というのは主観であり、相対的なものだ。他の人はもっとうまくやっているように見える、ということ。

すぐ忘れる、ということに気がついてからは、記録を取るようになった。
ここ数年はコンピュータにそれを任せている。メモ帳よりも身近にあるし、文字を書くよりもキーボードやフリックで入力する方が文字が早く打てるようになったおかげでもある。
このブログも、僕にとっては記憶媒体の一つで、外部脳として機能している。

最近では、記録したことを記憶することさえ困難だということに、だんだんと気が付いてきた。
年を重ねるにつれて経験することは増え続けていて、脳の記憶容量は徐々に圧迫されていく。僕の脳の容量が何GBかTBか、あるいはそれ以上かそれ以下かはわからないが、そこまで大きくはないことはおそらく確かで、オーバーした記憶は削除されたり、普段アクセスできない場所に自動的に整理されたりしてしまう。そんな感じ。

生きていれば、忘れたいこともあって、忘れたくないこともある。忘れてしまっても取り返しのつくものならいいが、一度失くしてしまったら取り戻せない思い出もある。
色々なことを、大切な人や自分と過ごした時間を忘れてしまうと、自分が何によって構成されているかがわからなくなっていく。自分の思考がブラックボックス化していく。僕はそれがとても、多分、怖いのだ。

僕は、年をとることを怖いことだとか嫌なことだとはあまり思ったことがない。知識は蓄積され、できることは増えて、世界は広がっていく。でも、忘れることだけは嫌だな。好きだった人のことや、幸せな時間を、忘れてしまうのは寂しい。
そんなことを考えて、でも、きっとまた忘れてしまうのだろう、と思った。

こんなことを考えたことも、きっと忘れてしまうから、こうして書いてバックアップを取っておく。
少しでも抗えたらいいな、なんて。