花びらを数える日々

チラシの裏、ときどき星の屑

全力で逃げるふりをする。

生きることは逃げることなのかもしれない。

あなたが働くのは、貧困や社会性の欠如から逃れるためではないだろうか。
あなたが本を読むのは、無知な自分や退屈な時間から逃げるためではないだろうか。
あなたが音楽を聴くのは、食事をするのは、夜眠るのは……。もしかしたら、全部何かから逃げているのではないか。

ふと自分にそう問いかけて、僕は否定することができなかった。

でも、生きることは立ち向かうことなのかもしれない。

あなたが働くのは、大切なものを守るためではないだろうか。
あなたが本を読むのは、新しい世界に足を踏み入れるためではないだろうか。
あなたが音楽を聴くのは、自分を奮い立たせるためかもしれない。食事も睡眠も、全部この世界で戦っていくためではないか。

そう自分に問いかけたとき、肯定できるようになりたい。
逃げた先にも苦難はある。逃げることはすなわち、その先にある苦難に立ち向かうことでもあるのだ。

結局は、物事を肯定的に捉えるか否定的に捉えるか、積極的に考えるか消極的に考えるかの違いでしかないのかもしれない。
いつだって事実は変わらず、変わるのは解釈だけだ。なら、今は逃避行でも悪くない。後から後悔のないように、全力で逃げるのも悪くない。

そんな風にごまかして、全力で明日に立ち向かおう。