花びらを数える日々

チラシの裏、ときどき星の屑

家計簿に見る宇宙。

家計簿をつけている。
家計簿といっても、出金と入金の額と内容の概要を記すだけの簡単なものだ。

今財布の残高を確かめてみたら、そこには840円の誤差があった。財布の中身の方が少ない。

僕はなぜだか、人生の大いなる神秘を発見した気分でいる。

840円の使途不明金。そこにはいくつかの謎がある。

現代において、840円というお金でできることは極めて限定的だ。
何か大きな買い物をするには足りないし、ちょっとしたエンタメでももう少しお金がかかる。

僕の生活で840円を使うタイミングを考えても、コンビニで何かお菓子を買うとか、飲み物を買うとか、そのくらいしか思いつかない。あるいはヒトカラとか? ここ一年は行った覚えが無い。

しかも840円というのは半端な金額だ。消費税は現在8%。832円ならまだわかるが840円だ。さっぱりわからない。

何かもっと大きな出入金を記録する際に金額にミスがあった、という可能性はあるが、それも極めて低い。大きな金額であればあるほど僕はその数値を確認するし、小さい金額なら840円も違えば気がつくはずなのだ。

謎は深まるばかりである。

しかし、こうも思う。人生はわからないことがあった方が面白い。
僕たちが宇宙や未来に憧れ、恋や物語の世界に惹かれるのは、その先がわからないからだ。ならば使途不明金840円は、人生における一つの神秘を購入した代金というわけだ。

秋も深まるばかりである。