花びらを数える日々

チラシの裏、ときどき星の屑

視野は視点の公倍数か公約数か

経験は視点を増やし、視点を増やすことができれば視野が広がる、と僕は思っていた。
つまり、視野を広げるためには経験を積めば良い、と考えていたのだ。
しかし、果たしてそれは正しいのだろうか?

今日、ある人がこんなことを言っているのを聞いた。

経験は、新しい視点を加えるのではなく、視点を別の階層に切り替えるのだ

新しい視点を得れば、同時に今の視点は失われる、ということか。

「視点」を「数値」に例えるなら、「視野」というものはその「公倍数」のようなものだと、僕は考えていた。持っている数値の数が増えれば増えるほど、公倍数は増え、視野は広がっていく。

でも、もしこれが公倍数ではなく、公約数のようなものだったなら?
視点を得るほどに、視野は狭まる。たしかに、僕らは生きていくとだんだんと視野が狭まって、自分だけの価値観に囚われてしまうようにも思う。

だとしたら、と考えてみたけど、結局もしそうだとしたら、僕らは自分の持つ視点だけでなんとかするしかないのだ。

……でもやっぱり、視点は増やしていけるものだと思いたい。
今の自分の思考が、自分の思考のすべてではない。僕らは一人の人間だけど、その内面は決して単純な構造のものではなく、いくつものレイヤーが複雑に重なるようにしてできているはずなのだから。