花びらを数える日々

チラシの裏、ときどき星の屑

雨のち、タイムトラベラー

お題「初めて買ったCD」

僕がまだ高校生の頃の話だ。

当時はまだスマートフォンなんて無くて、携帯で音楽を聴く人もごくわずかだった。CDプレーヤーがまだまだ現役で、一時期持ち歩いたりもしていた。

いつだったか、誕生日に兄からmp3プレーヤーをもらって、それ以来は通学の電車でいつも音楽を聞いてたように思う。今では、mp3プレーヤーという言葉も古びて見える。

最初に入れた曲は、今でもよく覚えている。クラプトンのChange The World 。高校生には渋すぎる名曲だと思う。一曲をリピート再生して、何度も何度も流した。

初めて自分で買ったCDは、たしか、Mr.BIGのGet Over Itだった。このころは、洋楽の、特にハードロックにはまってた。英語の勉強は苦手で嫌いだったけど、歌詞だけは必死に意味を調べたりして。友達からCDを借りることもあって、思い返すと、自分もなかなか高校生らしかったなぁ。

 

昔聞いた曲を久々に聞くと、その曲を聞いていた当時のことを思い出す。いい思い出ばかりじゃないし、バカだったし、それでも、真剣に生きていた。若さとか、まっすぐな熱さとか、今の自分が忘れてしまったものも多くて、だから、思い出すたびに少し切なさがにじむ。同時に、新しい発見もある。気づかなかった美しいフレーズも、理解できなかった深みも、たくさんあったことがわかる。これを、大人の特権だと思いたい。

年を重ねて失ったものも多いけれど、見えていなかった景色が見えるようになった。聞こえなかった音が聞こえるようになった。それはきっと、自分にとっての世界が広がったということに他ならない。歳をとるのも、悪くない。